エリーアンチエイジング研究室

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│研究日誌 第10日目 エリー記す
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 標題:心も老います。
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 最近研究が忙しくて睡眠不足です。

 なんだか元気が出ません。

 「……はぁ〜」

 「エリー先生?どうかされましたか?なんだかとても疲れておいでのようで
 すけど。」

 「あぁ、ハル君ですか。こんにちは。今日はいい天気ですね。」

 「……先生、本当に大丈夫ですか?なんだか哀愁が漂ってきそうなほど顔に
 精気がありませんよ。」

 「そうですか?……どうも最近研究が立て込んでて、疲れているみたいです
 。」

 「それはいけません。今日は休まれてはいかがですか?」

 「いえ、それほどではありませんから。心配してくれてありがとうございま
 す。」

 「そうですか?それならいいんですが。過労はうつ病の原因になるっていう
 じゃないですか。気を付けて下さいね。」

 「そうですね。気を付けます。ところでハル君、うつ病の好発年齢のピーク
 が高齢期にあることは知ってますか?」
 
 「え、そうなんですか?年を取るとうつ病になりやすいということでしょう
 か?」

 「どうもそのようです。原因としては友人や伴侶の死、健康への不安、迫る
 死への不安など、気が落ち込む事柄が多くなることが考えられるそうです。
 人生への満足度が失われ、人生を空虚に感じるようになることが老年期うつ
 病の特徴なんですよ。」

 「あぁ、僕も友達や家族が先に逝ってしまったら、きっと落ち込みますね。」

 「それは無理もないことです。でも私はそのような状態は心が老いてしまっ
 たと思うことにしてます。限り有る人生ですから、例え悲しいことや不安な
 ことがあっても最後まで気を明るく持って、毎日楽しく過ごしたいものです
 。体は老いてしまったとしても、気持ちが若ければその方が幸せだと思いま
 す。」

 「僕もそう思います。心のアンチエイジングはくよくよせずに笑って過ごそ
 うってことですね!」

 「ふふっ。きれいにまとめましたね。」

 「あはは。ありがとうございます。それにしても疲れた表情のエリー先生は
 なんだかセクシーですね。僕どきどきしてしまいますよ!」

 「それはどうもありがとう。でもハル君には彼女がいるんですから、そんな
 ことを軽々しく言うのは感心しませんよ?」

 「問題ありませんよ!だって僕、彼女のこと大好きですから!」

 ハル君、あなたの理屈はよく分かりません……。



│備考欄 (今日の要点)
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 高齢期にはうつ病を発症しやすい。

 いつも気を明るく持つことが大事。



●参考文献 

 うつ病の発症ピークは高齢期:老年医学テキスト 改訂第3版、P.350、日本
 老年医学会編、メジカルビュー社(2008)

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