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│研究日誌 第11日目 エリー記す
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標題:ES細胞を使った世界初の臨床試験が始まります。
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だだだだっ…バッターン!
「エリー先生!」
「なんです、ハル君、そんなに慌てて。」
「何って、ES細胞(胚性幹細胞)を使った治療ですよ!」
なんだか"うっかり八兵衛"みたいな登場の仕方ですね。
「えーっと、ジェロン社(米国のバイオテクノロジー企業)のニュースのこと
ですか?」
「さすがエリー先生!ご存知だったんですね!」
「もちろんです。何しろES細胞を使った世界初の治療ですからね。」
たしか、脊髄損傷者の脊髄にES細胞を元にして作った細胞を移植して、脊
髄神経を再生させるという治療方法でしたね。米食品医薬品局(FDA)が
臨床試験の許可を出したとのことですが……。
「そうなんですよ!この治療で脊髄損傷が治るようになるといいですね!」
「私もそう願っていますよ。動物を用いた実験では実際に神経が修復されて
いますし、上手くいけば脊髄損傷は歩けなくなるという時代は終わることで
しょう。」
「は〜、なんだが興奮が冷めないですよ。だってこの試験が成功すれば、糖
尿病やパーキンソン病とかに対するES細胞を使った治療なんかも、ぐっと
現実味を帯びるじゃないですか!将来的にはいろいろな機能不全に陥った臓
器なんかの再生も可能になるってことですよ!そうなったら老化なんか怖く
なくなりますよ!」
「ふふっ。その通りですね。ハル君の興奮する気持ちもよく分かります。け
れどまだ臨床試験が始まる前ですから、今はこの試験が成功することを祈り
つつ見守りましょう。」
「そうですね!よーし、うまくいけ〜うまくいけ〜!」
ハル君に当てられたのでしょうか。私もなんだか興奮してきてしまいました
。夢の再生医療が、とうとう夢では無く現実のものになるかもしれないんで
すよね。楽しみです。
│備考欄 (今日の要点)
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ES細胞を使った世界初の臨床試験がFDAに許可された。
再生医療の実現は確実に近づいている。
●参考文献
ES細胞を使った世界初の臨床試験:
ジェロン社のウェブサイト
http://www.geron.com/media/pressview.aspx?id=863
日本語記事 毎日新聞 2009年1月24日
http://mainichi.jp/select/science/news/20090124dde007030044000c.html
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