エリーアンチエイジング研究室

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│研究日誌 第13日目 エリー記す
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 標題:肥満は血管の老化を加速させます。
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 今日は知り合いの研究者から、年を取った実験用マウス(ハツカネズミ)が数
 匹送られて来ました。

 「エリー先生、なんだかこのマウスたち、元気が無いですね。毛並みも悪い
 ですし。」

 「そうですね。おじいちゃんマウスですから、こんなものです。ハル君は年
 老いたマウスを見るのは初めてですか?」

 「はい。若いマウスなら見たことあるんですけど、ここまで高齢なのは初め
 てです。ところでこのマウスたち、ずいぶん大きさが不ぞろいなんですね。
 系統が違うマウス(ヒトで言うと白人、黒人くらいの差)なんですか?」

 「いいえ。どれも同じ系統のマウスです。遺伝的にはほぼ同一です。一卵性
 の双子みたいなものですよ。」

 「えっ、遺伝子が同じなのにこんなに違うんですか。あ、もしかして餌とか
 飼育環境が違ったんですかね?」

 「いいえ。どのマウスも同じ飼育箱で同じ餌を与えて育てられました。」

 「へぇ〜……じゃあこの太っちょのやつは、兄弟達よりも随分食いしん坊だ
 ったってことですね。」

 「そうだと思います。」

 「そういえば、肥満は生活習慣病……今はメタボリックシンドロームって言
 うんでしたっけ?の一番の危険因子ですよね。この太っちょは兄弟達よりも
 メタボリックシンドロームで早く死んでしまうんでしょうか?」

 「そうかもしれません。肥満は糖尿病、高脂血漿、高血圧を引き起こし、最
 終的に動脈硬化症につながります。動脈硬化は血管の老化現象の代表ですか
 ら、肥満は血管老化を早めるとも言えますね。」

 「血管老化ですか……血管は詰まったり破裂したりすると死に直結してしま
 うから、そこが老化するというのはなるべく避けたいですね。」

 「その通りです。文字通り、致命的ですよ。ハル君も太らないように気を付
 けましょうね?」

 「もちろんです!エリー先生も気を付けて下さいね。僕エリー先生のそのプ
 ロポーションが崩れたら大泣きしますよ。毎日きれいなエリー先生を眺める
 という僕の楽しみが無くなってしまいますから!」

 「まぁ、ハル君たら私のことをそんな風に見ていたの?ふふっ、あんまり露
 骨にしたらセクハラで訴えますよ?」

 「あはは、どうかご勘弁を。明日からはサングラスして来ようかなぁ。」

 ハル君もどこまで冗談なんだか……。でもまぁ、悪い気はしませんね。



│備考欄 (今日の要点)
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 肥満は血管の老化である動脈硬化を加速する。



●参考文献 

 ※肥満と動脈硬化症:わかる実験医学シリーズ 生活習慣病がわかる 糖尿
 病・動脈硬化をはじめとする各疾患の分子機構と発症のメカニズム、P.12-
 19、春日雅人 編、羊土社 (2005)

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