エリーアンチエイジング研究室

戻る


│研究日誌 第19日目 エリー記す
└───────────────────────────────────
 標題:老化の指標とは?
 ───────────────────────────────────
 
 「エリー先生、昨日の夜に雑誌に載ってた精神年齢チェックっていうのやっ
 てみたんですけど、そしたら僕は精神年齢12歳って判定が出ました。これっ
 て幼いってことですよね?僕ってそんなに子供ですか?」

 「うーん……そうですね。私はハル君のことは、礼儀正しくて自分のことは
 自分で責任を持つことのできる青年だと思っています。ときどき少年のよう
 な言動をすることもありますから、渋い大人の男性という感じはしないです
 けど、いわゆる"おこさま"ではけっして無いと思っています。」

 「本当ですか!よかった〜!エリー先生にそんな風に思って貰えてるなんて
 、僕嬉しいです!もしエリー先生に"おこさま"だなんて思われてたら、僕は
 大人の男になるためにしばらく新宿の歌舞伎町に修行に行こうと思っていた
 んですよ!」

 「ふふっ、大袈裟ですね。でもどうして歌舞伎町なんです?」

 「だって歌舞伎町って言ったら大人の男の遊び場だっていうじゃないですか
 。きっと渋い大人の男性がいっぱい集まっているに違いありません!僕は彼
 らを間近で見て、一緒に遊んで、大人の男の何たるかを学び取ろうと思って
 たんですよ。」

 ハル君、それは違うと思います……

 「それは危ないところでしたね。」

 「へ?何が危ないんですか?」

 「あっ……いえ、とにかく、ハル君は歌舞伎町に行かなくても十分大人の男
 です。歌舞伎町に行く必要は無くなりましたね。」

 「うーん……でも一度行ってみたいんですよね。大人の男の遊び場って。」

 「それは、えっと……そう!お金!歌舞伎町はとってもお金がかかる遊び場
 ですよ!ハル君のお給料じゃちょっと辛いと思います。」

 「そんなにかかるんですか?それじゃ今回は諦めます。そっか…歌舞伎町は
 "収入のある大人の男"の遊び場というわけですか……もしかして上流階級の
 社交会場?」

 「もうそれは置いておきましょう。ところでハル君、今回ハル君の精神年齢
 と実年齢の間に差があったように、生物学的年齢と実年齢の間にも差が生じ
 る場合があります。」

 「生物学的年齢ですか?」

 「はい。生物学的年齢は老化度とも言い換えることが出来ます。例えば肌年
 齢というのを聞いたことがありますか?」

 「あぁ、よく化粧品やエステの宣伝で聞きますね。これを使えば肌年齢が10
 歳若くなる!みたいに。」

 「そうですね。この場合肌年齢を何かしらの方法で評価しているはずですよ
 ね?どうのように評価しているかは知っていますか?」

 「えっと……ちょっと分からないです。しわとかを数えるのでしょうか?」

 「よく用いられる指標としては、肌の弾力性と水分量があります。年齢によ
 って平均的な肌の弾力性と水分量というのが算出されていますので、これを
 基準として肌年齢を推定しているのです。ハル君が言ってくれたように、し
 わや肌荒れも指標として用いることがあるようです。」

 「弾力性や水分量は定量できますから、客観的に判断できるわけですね。」

 「その通りです。肌と同じように骨年齢というのもあります。骨密度は加齢
 とともに低下しますが、あまりにも低下すると骨粗鬆症となり、骨折の危険
 が出てくるのできちんと評価することは重要です。肝心の骨年齢の算出方法
 ですが、これは各年齢における骨密度の平均値を基準として、その人の骨密
 度から骨年齢を割り出すというものです。例えば40歳のヒトが60歳のヒトの
 平均骨密度と同じだったとすれば、骨年齢は60歳と判定されます。この方は
 カルシウムを多く取るなり、運動するなりして骨密度をあげるよう医師から
 指導されるでしょうね。」

 「老化度の評価を適切にすることで、すべき対処も見えてくるって訳ですね
 。」

 「そういうことです。」

 「ところでエリー先生の肌年齢はいくつなんですか?」

 それを女性に尋ねますか、この子は……

 「もちろん10代ですよ。」

 「へー、さすがエリー先生!すごいですね!お肌きれいですものね!」

 「ふふっ、ありがとう。」

 「でも実際に測ってみたいです。お肌のアンチエイジングの研究です。今度
 測定器持って来ていいですか?」

 「ダメです。(ニッコリ)」

 「……エリー先生、僕はエリー先生の笑顔を見ているはずなのに、なぜか背
 筋がヒンヤリします。手も震えます。これって何かの病気でしょうか……」

 「ふふっ、それはきっと、"Curiosity killed the cat." シンドロームです
 よ。」



│備考欄 (今日の要点)
└───────────────────────────────────
 老化度の正確な評価は、老化防止の対策を立てる上で極めて重要


●参考文献
 老化度の判定:老年医学テキスト 改訂第3版、P.19、日本老年医学会編、メ
 ジカルビュー社(2008)


戻 る