エリーアンチエイジング研究室

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│研究日誌 第28日目 エリー記す
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 標題:ケミカルピーリング
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 「エリー先生、この写真見て下さい。すごいですよ。」

 「なんです?どれどれ……ぎゃっ!」

 「"ぎゃっ"て……エリー先生……なんかイメージと違う……」

 そんなこと言われても、いきなりそんな写真見せられたら誰でも驚きますっ
 て。

 「こほん。なんですか?この写真は。顔がドロドロに溶けているように見え
 ますけど。」

 「これ、ケミカルピーリングをした直後の写真ですよ。」

 あぁ、なるほど。そう言えば私も以前似たような写真を見たことがあります
 。ケミカルピーリングと言えば、


 細胞毒性やタンパク凝固作用がある薬剤を皮膚に塗る
  ↓
 皮膚の細胞壊死、タンパク凝固融解が起こる
  ↓
 炎症反応、創傷(皮膚のにできた傷)治癒によって皮膚の再生を促す


 これによって二次的な美容効果を期待するのが共通するコンセプトの美容外
 科治療ですね。

 「ハル君、ケミカルピーリングに興味があるのですか?」

 「それはもちろん、ありますよ。お肌のシミとか、皺とか、ニキビとかの治
 療に使うって言うじゃありませんか。お肌のアンチエイジングってことで、
 ちょっと調べてたんです。」

 「なるほど。それで、私に何か聞きたいことがあるのですか?」

 「あはは。エリー先生の驚く顔が見たくて。」

 「はぁ、困った子ですね。まんまと驚かされてしまいました。」

 「すみません。冗談です。お尋ねしたかったのは実際にはどれくらい効果が
 あるのかと言うことです。」

 「効果ですか。そうですね……ケミカルピーリングで最も効果があるのはニ
 キビだそうです。角栓を積極的に剥がすというのがニキビのケミカルピーリ
 ングの本質です。コメドから炎症性膿ほう、鼻瘤まで対応できます。」

 「へぇー、そうだったんですか。僕もニキビで悩んだ時期がありましたが、
 ケミカルピーリングのことは知らなかったのでクレンジングだけで乗り切り
 ましたよ。うーん、あの時知っていれば、ニキビをきれいに治してユリ子ち
 ゃんに告白したのになあ。」

 「ゆりこちゃんて、ハル君が好きだった子ですか?」

 「そうなんですよ!名前の通りゆりのようなきれな娘で、僕は彼女の顔を見
 るだけで心臓が爆発しそうになってました。その頃の僕は多感なお年頃だっ
 たので、ニキビが気になってどうにも自分に自信が無かったんです。告白で
 きずじまいでした。あぁ、思い出すな〜。今元気かな〜。」

 「ふふっ。可愛いですね。」

 「いやー、ホント、ユリ子ちゃんは可愛かったです!」

 ハル君のことですけど、まあいいです。

 「あ、エリー先生ごめんなさい。それで他はどうなんでしょう?ケミカルピ
 ーリング。」

 「他だとシミ、つまり色素沈着には他の治療法では得られないくらいの劇的
 な効果がある場合も報告されています。」

 「おぉ!それはすごいですね。」

 「すごいのです。ですがケミカルピーリングはなかなか難しい治療方法で、
 下手をすると治療後に逆に色素沈着が起きてしまうこともあるようですよ。
 」

 「えぇ!それは困りますね。」

 「きちんと知識のある医師の治療を受けることが大事ということです。」

 「それは他の医療でも当てはまりますね。」

 「そうですね。あとは皺、特に小じわの治療についてですが、ニキビやシミ
 ほどには臨床効果は無いようです。」

 「あれれ、そうなんですか。」

 「ケミカルピーリングは広く行なわれている美容目的の治療ですが、臨床応
 用が先行していて基礎研究がまだまだ不十分なんですよ。治療は行なってい
 ますが、その治療効果のメカニズムの解明が追いついていないのが現状です
 。ですから治療効果のメカニズムが詳細解明されて、より優れた治療方法が
 生まれれば皺をきれいさっぱり取り除くことが出来るようになるかもしれま
 せん。100歳でタマゴ肌だってありえます。」

 「おお、それは楽しみですね。」

 私もそのうちケミカルピーリングのお世話になる時が来るのでしょうか。そ
 の時までにもっとこの分野が発展していてくれることを心から願うばかりで
 す。特に皺!皺をなんとか!



│備考欄 (今日の要点)
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 ケミカルピーリングはニキビ、色素沈着に効果が高い。

 ケミカルピーリングは皮膚を傷つける過激な治療方法であるため、しっかり
 とした知識のある医師の治療を受けるべき。


●参考文献
 ケミカルピーリングについて:ケミカルピーリング、吉村浩太、日本皮膚科
 学会会誌 生涯学習講座(2000)
 http://www.cosmetic-medicine.jp/list/peel-hihu.html

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