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│研究日誌 第29日目 エリー記す
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標題:老化のすり切れ説について考えます。
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ガガガッブロンブロンッキキッ!
なんでしょう?駐車場の方が騒がしいですね。おや?ハル君がちょうど車で
出勤したところのようです。今の音は彼の車の音だったのでしょうか……。
――バタン
「おはようございます。エリー先生。今日も一日がんばりましょう!」
「おはようございます。ハル君。今駐車場でものすごい音がしていましたけ
ど、ハル君の車が出していた音ですか?」
「あ、多分僕のです。そんなに響いていましたか。失礼しました。最近妙な
音がしてしょうがないんですよね。修理に出した方がいいのかな?」
「その方がいいのでは?なんだか危険な感じがしました。」
「そうですか。いやー、実は今乗っている愛車のデミオは中古なんですよ。
買った時の走行距離はそりゃーすごいもので、まあその分安かったのですけ
どね。」
「もう寿命ということでしょうか。すり切れてしまったんですね、きっと。
」
「残念です。ところですり切れると言えば、生物はすり切れると老化として
症状が現れるという説がありましたよね。最近そのことで興味深いことを聞
いたんですけど、ミツバチの働きバチは分裂終了細胞のみでできているらし
いですね。だから働きバチは働いてすり切れても修復に使う細胞が無くて、
そのまま死んでしまうとか。使い捨てみたいでなんだか切ないです。」
「使い捨てかどうかはともかく、働きバチの話は老化のすり切れ説をよく体
現していると言えますね。働くほどに細胞、組織、器官に損傷が蓄積されて
いき、やがて生きていられなくなるほど傷つくとそのまま死んでしまう。」
「エリー先生、僕は今、みなしごハッチというアニメを思い出しました。ハ
ッチは散々働かされた挙句、体を治すこともできずに死んでしまうんですよ
ね。悲しいお話です……(ぐすん)」
そんな話ではなかったと思いますが……
│備考欄 (今日の要点)
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働きバチには老化のすり切れ説が良く当てはまる。
●参考文献
すり切れ説:近藤昊・井藤英喜 著、『老化』、p.42-43、山海堂(2001)
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