エリーアンチエイジング研究室

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│研究日誌 第30日目 エリー記す
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 標題:サプリメントとアンチエイジング
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 ぼりぼり

 ハル君が錠剤をたくさん飲んで…いえ、食べてます。一体何の錠剤でしょう
 ?

 「ハル君、一体何を食べているのですか?」

 「あ、エリー先生、えっとですね、これはビタミンCのサプリメントです。
 抗酸化物質ってことで食べてました。すっぱくておいしいですよ。」

 「はぁ、そうですか。それにしても食べすぎでは?」

 「なんだか美味しくって、お菓子感覚で食べてしまいました。でもビタミン
 Cですし、大丈夫ですよね?」

 「どうでしょう?確かにビタミンCは大量に摂っても病気になったり死んで
 しまったりというような副作用があるとは聞きませんけどね……。」

 「ビタミンCの他にもサプリメントっていっぱいあるじゃないですか。コエ
 ンザイムQ10とか。本当に摂取して健康にプラスに働くなら、摂るべきです
 よ!」

 「コエンザイムQ10はミトコンドリア(細胞の中でエネルギーを産生している
 )でのATP(エネルギーを蓄えた物質)産生に関わる物質ですし、抗酸化能もあ
 るということで大々的に取り上げられてましたね。でも効果のほどははっき
 りしてませんよ?」

 「そうですか……うーん……じゃあホルモン投与なんてどうです?男性ホル
 モンのテストステロンとか、女性ホルモンのエストロゲンなんかは加齢に伴
 って減少してます。テストステロンやエストロゲンを注射するホルモン療法
 があるって聞きますよ?」

 「ホルモン療法はアメリカで一般的なものだそうですね。例えばテストステ
 ロンを投与すると筋力が増強されるとか、性方面で復活するとか。でも前立
 腺癌の発症率を大幅に引き上げます。エストロゲンは更年期障害の治療に使
 われますが、乳がんや心臓血栓の発生率が上昇することが報告されています
 。」

 「ままならないものですね。」

 「生命はあまりに複雑です。単純な足し算引き算で考えても上手く行かない
 場合の方が多いと思いますよ。サプリメントやホルモン療法は研究データや
 臨床データが蓄積されて来ていますし、これからもどんどん蓄積されていく
 ことでしょう。一つ一つ吟味して、確かな効果、確かな安全性の確認をして
 いくことが重要です。問題なのはサプリメントやホルモン療法などが医療と
 いうより商業的な側面が強く出てしまっている場合があることです。気を付
 けないと広告に翻弄されて体を害してしまう選択をしてしまうかもしれませ
 ん。きちんと効果と副作用を知り、自分で効果があって安全なものを見極め
 る目を持つ必要があります。」

 「そうはおっしゃいますが、専門家でもないとなかなか難しいですよ。そも
 そも専門家が"これは良い!"とか言って宣伝してるんですよ?何を信用して
 良いやら……。」

 「その通りですが、自分の体は自分で守るしかありません。それに強い副作
 用のあるものなら一般向けの医学書やインターネット上で簡単に調べられる
 はずです。せめてそれくらいは行ないましょうね?」

 「そういうものですか。」

 「そういうものです。」




│備考欄 (今日の要点)
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 サプリメント、ホルモン療法は効果と副作用を自分で調べた上で選択する。

 広告の宣伝文句はもちろん、"専門家の意見"ですら安易に信用はできない。



●参考文献
 コエンザイムQ10、ホルモン療法について:三井洋司 著、『不老不死のサ
 イエンス』、p.180-197、新潮新書(2006)

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