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│研究日誌 エリー記す
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第58日目 脳の「時間認知」仕組みが分かりそうです
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「エリー先生、東北大の虫明元(むしあけはじめ)教授が脳の時間認知のま仕
組みをを解明したと報告がありましたよ。」
「あぁ、おサルさんを使った実験ですね?ハル君。確か時間認知には前頭葉
内側にある「前補足運動野」と呼ばれる領域が深く関与していたとか。」
「それです!」
東北大の研究チームは、サルに2、4、8秒の待ち時間を黄、赤、緑の色分
けを使って指示して、正しく行動できると、飲み物を与える実験を行いまし
た。脳組織の電気信号の発生状況を調べて、細胞単位の活動などを分析した
とのこと。この結果、前補足運動野に2、4、8秒という時間の長さを覚え
ている細胞群がそれぞれ存在することが分かったと報告しています。これら
の時間を記憶する細胞群から情報を受け取り、実際に時間を直感的に計測し
て行動に結びつける別の細胞群も見つかったそうですね。細胞群はまるで砂
時計の上下のように時間の経過とともに活動が減る群と、逆に活発になる群
に分かれたとも。
「時間の認知った大事ですよね。例えば脳内の電気信号を検出して義手なん
かを操作する場合を考えると、時間の認知メカニズムが分かっていれば脳内
の信号の検出や信号を受け取ってから義手が実際に作動するまでのタイミン
グなんかを上手く調整できるようになりそうですし。」
「そうですね。ただ現在でも脳からのシグナルだけで動く義手をつけている
おサルさんがいます。この義手、目の前のバナナを掴んで食べることまでで
きるみたいですし、時間認知のメカニズムを応用する必要は無いのかも知れ
ません。」
「ああ、そういえばそうでしたね。とは言っても時間認知をしている細胞郡
があるというのは面白いですね。ヒトって精神状態で例えば10分を1分くらい
に感じたり1時間くらいに感じたりするじゃないですか。それってこの細胞群
が関わっていると考えられますよね!」
「ふふっ、どうなんでしょう。脳はまだまだ分からないことだらけです。私
としては加齢で時間認知をする細胞群が変化してしまっていないかどうかが
気になります。若齢者と高齢者では時間の感じ方が細胞レベルで異なってい
るかもしれませんから。」
│備考欄 (今日の要点)
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脳の前補足運動野には時間を認知する細胞群がある。
●参考
脳の「時間認知」の仕組みを解明
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news/20090302-OYT8T00203.htm
(2009年3月2日 読売新聞)
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