エリーアンチエイジング研究室

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│研究日誌 エリー記す
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 第61日目 冷凍人間のお話
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 「エリー先生、人間を冷凍して保存する技術ってありますよね。」

 「クライオニクス(Cryonics)のことですね?ハル君。」

 クライオニクスは死後に体を凍結保存して、科学技術が進歩し、老いや病気
 が克服された未来において蘇生してもらうことを目的として行われます。

 「あ、そんな名前でしたか。そのクライオニクスってどこで行われているの
 ですか?」

 「一番有名なのはクライオニクスを始めたアメリカ合衆国にある非営利団体
 、アルコー延命財団(Alcor Life Extension Foundation)ですね。その次は
 やはりアメリカの非営利団体、クライオニクス研究所(Cryonics Institute)
 でしょうか。」

 「なるほど。ところで冷凍って具体的にはどういう手順で行われるのでしょ
 う?」

 「おおまかには次のような手順です。

 1. 医師から死亡宣告が出る。

 2. 遺体は氷水に全身を浸され、人工呼吸装置によって心臓と肺の運動、血
   液の循環、呼吸が人工的に行われる。

 3. 静脈などから体内にあらゆる抑制剤と麻酔薬が注入され、臓器や脳の保
   存が図られる。その間、同時進行的に死後数分の間に体温を数度にまで
   低下させ、身体の保全を図る。

 4. 体内の血液を全て抜かれ、保存液が体内に循環するよう注入される。

 5. 液体窒素により-196℃に保たれ、(財団、故人の主張では蘇生されるま
   で)半永久的に施設内に保存される。

 以上です。」

 「半永久的に……。まだ蘇生するための技術は見つかっていないのですよね
 。」

 「そうですね。組織を傷つけずに上手に解凍できるようにはなっていません
 。」

 「エリー先生は将来この技術が完成して、自由に凍結と解凍ができるように
 なると思います?」

 「可能性はあると思いますが、いつ頃になるかはわかりませんね。」

 「そうですよね。あ、あとクライオニクスの費用ってどれくらいかかります
 ?僕みたいな一般人でもやろうと思えばできますかね?」

 「アルコー延命財団で行うとすると、2009年3月現在で

 凍結種別    凍結処置       1年当たり保存費用
 
 体全体     27,500 ドル (265万円)  1,700 ドル (16万円)

 脳のみ     18,900 ドル (182万円)    150 ドル (1.4万円)

 のようですね。」

 「そうですか。そうすると脳のみを100年だと・・・322万円ですね。うーむ。
 僕でもがんばって貯金すれば十分可能な額です。」

 「ハル君は興味がおありですか?」

 「いざとなれば……でもその前にアンチエイジングの研究を進めて寿命を延
 ばしたいですよ。」

 「ふふっ。そうですね。」



│備考欄 (今日の要点)
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 人間の凍結保存が行われたいる。しかし現時点では蘇生方法は無い。



●参考
 クライオニクス:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』、項目=
 "アルコー延命財団"
 クライオニクス費用:アルコー延命財団ホームページ
 http://www.alcor.org/index.html
 クライオニクス研究財団: http://www.cryonics.org/

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