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│研究日誌 エリー記す
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第62日目 鳥類の寿命の不思議。
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「エリー先生、鳥がとても長生きだという話を聞きましたよ。」
「その通りです。コンゴインコなんかは100年以上生きます。」
「おぉ!すごいですね!鳥類って長生きなんだ。そう言えば鶴は千年亀は万
年っていいますものね!」
「ふふっ。そうなんですよね。面白いものがあります。これを見て下さい。
」
(ぱらり)
動物 最大寿命 1時間の代謝量 生涯代謝量
(年) (酸素/g/h) (酸素/g)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
カナリア 24 5,812 ± 21 1,222
ハト 35 1,518 ± 97 465
ヒキガエル 15 47 ± 4 6.2
マス 13 226 26
カエル 7 87 ± 5 5.3
テンジクネズミ 8 681 ± 27 48
ラット 4 790 ± 45 28
マウス 3.5 2,000 62
「あれ?体重当たりの代謝量が多いほど寿命は短いって以前に教えて頂きま
したけど、この表はその仮説が崩れてしまいますね。マウスとカナリアを比
べると、カナリアの方が約20倍も体重当たりの生涯代謝量が多いのに、寿命
は約7倍も長いですよ。」
「実は鳥類はマウスなどの哺乳類とはミトコンドリアの性質が違うのです。
ミトコンドリアは細胞の中に含まれている器官で、酸素をエネルギーに変換
していますが、この時に細胞を傷害する活性酸素が発生します。ところが哺
乳類に比べ鳥類のミトコンドリアではこの活性酸素が発生しにくいシステム
になっているそうです。これだけが鳥類が長命である理由ではないかもしれ
ません。しかし代謝量が多いにも関わらず長命である理由を考えた場合、ミ
トコンドリアの性質が哺乳類と異なることが原因と考えるのは理にかなった
ものだと思います。」
「ふーむ。となればこれは鳥を研究して、それを人間に応用できれば寿命を
伸ばせる可能性はありますね!」
「ふふっ。そうですね。」
「よーし!それじゃエリー先生、さっそく動物園にコンゴインコを見に行き
ましょう!」
│備考欄 (今日の要点)
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鳥類の寿命は非常に長い。鳥類を研究することでアンチエイジングに一歩近
づけるかもしれない。
●参考
寿命と代謝量:R. Perez-Campo a M. LoA pez-Torres a S. Cadenas
C. Rojas a G. Barjan. The rate of free radical production as a
determinant of the rate of aging:evidence from the comparative
approach. J Comp Physiol [B]. 1998 Apr;168(3):149-58.
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