エリーアンチエイジング研究室

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│研究日誌 エリー記す
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 第65日目 βカロテンという栄養素について
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 「エリー先生、ニンジンとか緑黄色野菜に多いβカロテンってどんな栄養素
 なのでしょう?」

 「βカロテンはカロテノイドと言われる物質群の一種ですね。βカロテンは
 腸で吸収されたあと、腸や肝臓の細胞の中で一部がビタミンAに変換されます
 。残りはβカロテンとして体に蓄えられますよ。」

 「あ、ビタミンAになるのですか。なるほど。ということはビタミンAとして
 体に作用しているということですか?」

 「それもありますが、βカロテンそのものも活性を持ちますよ。βカロテン
 は強い抗酸化能力があります。体の中でフリーラジカルを消去しています。
 特にフリーラジカルの一種の一重項酸素の消去が得意ですね。」

 「なるほど。フリーラジカルを消去するのならたくさん摂った方がよさそう
 ですね。」

 「そこなんですけど、βカロテンをサプリメントで毎日取り続けても、心臓
 血管疾患や悪性腫瘍、全死亡率に影響が出ないという報告があるのです。サ
 プリメントでとってもあまり意味はないかもしれません。」

 「それは残念です。」

 「しかし紫外線が原因で発疹ができる多形日光疹や、同じく紫外線が原因で
 赤血球が破壊されるポルフィリン症と言った病気の治療にβカロテンは使用
 されているんですよ。βカロテンが紫外線によって生じるフリーラジカルを
 消去することが重要なようです。」

 「でもそういう病気を持っていないヒトにとっては別段効果はないと。」

 「βカロテンは日々の食事で十分に取れる物質ですからね。サプリメントで
 飲むほどではないということでしょう。」

 「ところでβカロテンは有害である場合は無いのでしょうか?」

 「実は喫煙者が長期でβカロテンのサプリメントを摂取すると肺がんのリス
 クが高まると報告されています。」

 「そんなことが。安易に抗酸化物質だからと言って摂ると怖いですね。」

 「そうですね。一つ推奨されている摂取方法を紹介しましょう。それは短期
 間の旅行で紫外線の多い地域に行く場合でのことなのですが、βカロテンを
 一日30 mg 摂って、他にもビタミンE、ビタミンCという抗酸化物質を摂取す
 るというものです。もちろん日焼け止めは忘れてはいけませんよ。」

 「βカロテンが紫外線で生じるフリーラジカルを消去しているというのは事
 実ですものね。それにしてもサプリメントってのは奥が深いですね。βカロ
 テンに限らずいろいろ研究してアンチエイジングに活かしたいです。」

 「ふふっ。良い心がけですね。医食同源という言葉がありますけど、栄養素
 の研究は健康の研究でもあります。一緒にがんばりましょう。」



│備考欄 (今日の要点)
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 βカロテンはフリーラジカルを消去する働きがあるが、健康なヒトがサプリ
 メントとして多めに摂取した時の効果ははっきりしない。



●参考
 Bayerl Ch. Beta-carotene in dermatology: Does it help?. Acta 
 Dermatovenerol Alp Panonica Adriat. 2008 Dec;17(4):160-2, 164-6.

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