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│研究日誌 エリー記す
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第66日目 加齢による臓器の変化
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「ハル君、今日は加齢による臓器の変化についてまとめてみましょう。」
「はい。エリー先生。加齢による臓器の変化ということは、どのように臓器
の機能が低下するか、ということでもありますよね?」
「そうです。順に見ていきましょう。まずは心血管系です。」
心血管系の加齢変化
動脈硬化、心筋収縮能力低下、左室肥大、左房肥大、左室拡張機能低下、不
整脈などの心機能自体や予備能が低下するため、心不全に陥りやすくなる。
「なるほど。高齢で心不全になるヒトが多いわけですね。そういえば心筋細
胞は一度作られると壊れても再生されないから、心筋細胞が死んだ部分は繊
維に置き換えられていくって聞きます。それが心機能低下の原因の一つです
よね?」
「そうです。よく知ってましたね。では次に呼吸器系を見てみましょう。」
呼吸器系の加齢変化
呼吸筋の耐久力減少、低酸素血症や高炭酸ガス血症への反応低下、一回換気
量低下、残気量低下、ガス交換能低下、粘液繊毛運動低下が起こる。脳血管
疾患や変性中枢神経疾患では嚥下障害-えんげしょうがい(異物をのみこむ
とげーっと吐き出すような反射)が起こり、咳嗽反射-がいそうはんしゃ(
異物を気管に入れると咳で除こうとする)も弱くなるため、誤嚥性肺炎(細
菌が唾液や胃液と共に肺に流れ込んで生じる肺炎)を起こしやすい。
「ふむふむ。短くまとめると、呼吸能力が低下するとともに、肺へ異物が進
入しやすくなるってことですね。」
「その通りです。もう少し見ていきたいところですが、続きはまた明日にし
ましょう。」
「はーい」
│備考欄 (今日の要点)
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加齢に伴い、心臓の形態、構成が変化し、心不全になりやすくなる。
加齢に伴い、呼吸能力が低下し、肺へ異物が進入しやすくなる。
●参考
加齢による臓器の変化:老年医学テキスト 改訂第3版、P.42、日本老年医学
会編、メジカルビュー社(2008)
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